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食は力なりーその3(最終)

  今回を最終版とします。少し間延びしましてすいませんでした。
  そのため、前回までにどのようなことを述べてきたのかにつき、下記に整理し、今回版を
  スタートさせます。

               食事力をつけて、地域社会を活性化させよう

  1:はじめに
  2:溢れる食物と堕落する生活リズムが日本を壊しつつある。
    ⅰ・便利さに酔ってしまっている日本人
    ⅱ・家族バラバラの食卓が、体を蝕み、心を蝕む
    ⅲ・私たち人間は、宇宙のサイクルの中で生かされている。自然の摂理に素直にむき
      会うことが、健康な体と心を育てることを認識することが大切である。
    ⅳ・食べ方にも原理原則、マナーがある。
       (イ)人は何故食べるのか
       (ロ)バランスのとれた食事作りとは
       (ハ)食べ方は良かったか、良くなかったか、不足したところは・・・
          ※食事バランスガイドの解説
  3:食育基本法を制定され、食べ方を指導されるまでになった日本人
    ⅰ・食育基本法とは、その狙いは
    ⅱ・経済復興を成し遂げた日本人の心と食生活
       (イ)戦後復興期を生き抜いてきた人の人間魂と、その責任
       (ロ)飢餓の時代から飽食の時代へ
       (ハ)飽食がもたらすもの

    以上、ここまで述べてきました。発信した後見直したら、中途半端なところで終わって
    いました。反省しております。今回は、このあとから続けていきます。

       (ニ)情報化社会が狂わす生活リズムと食生活
          新聞、雑誌、TV、パソコン、携帯電話等々、情報は様々なメディアを通して
         入って来る。社会経済、技術、環境、娯楽、家庭、料理等々、情報は溢れ、惑
         わされるばかりである。これらの情報を整理し、上手に活用出来るか否かが健
         康的な生活を送れるか否かにかかっている。情報化時代はスピード化の時代
         でもある。常に社会の動向に気をとられ、「落ち着いていられない症候群」にと
         らわれる。子供達も、塾通い、TVやゲーム等で生活は乱れがち。一家あげて、
         夜型の生活習慣に入り込んでいってしまう。間食、夜遅い食事、睡眠不足、朝
         食が食べられない、肥満から生活習慣病への典型的なパターンである。加え
         て、すれ違いが多いため、一家団欒の機会は薄れ、大切な親子コミュニケー
         ションの場を失うこととなる。これが、現在を生きるための普通の生活であると
         勘違いされれいると、ことは重大である。

    ⅲ・何故、今「食」を育むことが必要なのか
       (イ) メタボリックシンドローム、生活習慣病、よく聞く言葉であるが、すっかり定着
          してしまい、特別に怖さを感じなくなっているのではないか。生活習慣病は大
          人だけのものではなく、子供達にも広がりを見せており深刻な問題である。
           少子化が叫ばれている今日、元気で健康な労働力を安定的にキープして
          ゆかなくてはいけない。組織立って「食」の勉強が必要である。

       (ロ) 我国には、伝統的な素晴らしい食文化がある(表―1参照)。古代より綿綿と
          伝えられてきた食べ物と食べ方。海に囲まれた国だったから、四季がはっきり
          した国だったから、水が豊富できれいな国だったから・・・この様な風土を背景
          として伝統的な日本独特な食文化が発達してきたのだ。魚、根茎類、豆類、海
          藻類を主体にした、体に優しいバランスの取れた食材が、我々日本人の体を
          造ってきたのである。一方で食事の洋風化が進むなかで、日本にはこのように
          世界に誇る食文化が存在している事自体に気がついていない人たちが数多く
          いるように感じさせられる。それは終戦後から今日までの約60年間強の非常
          に短期間の内に、あまりにも急激な経済発展が、蓄積されてきた素晴らしい財
          産をも忘れさせてしまうほどに、人は目先の物に心を奪われやすいようである。
           食文化を伝える事を通じ、豊かな心を、地域とのつながりや地産地消を計り
          ながら、じっくりと育成してゆく事の必要性を強く感じるのである。


 
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  4:足元を見つめることから、「食育」を進めよう。

    ⅰ・我国の食料事情
       食べ物が町中に溢れ、飽食の時代と言われている日本ではあるが、食料自給率は
      大きく低下し先進国のなかで最低である。これも昭和30年代後半からの高度成長期
      の後遺症とでも言えるものであろう。輸入食材を偏重し過ぎ、自国の食料生産を疎か
      にしてきた結果である。現在、日本の食料自給率(供給熱量自給率)は約39%と言
      われており、半数以上は輸入である。極めて不本意かつ情けない実態である。
       H22年目標として45%まで戻そうと計画はされているが、自給率低下に歯止めは
      かかっていない。穀物自給率(含飼料用)は27~28%であり他国がほとんど100%
      前後であることと比べても、我国の食料事情の危うさを強く感じざるをえないのであ
      る。一方、で現在を飽食と感じている人々とのこのGAPは果たして何であろうか。
       私達はこの現実を深く認識し、食べ物に感謝し大切にする、人間本来の心を取り戻
      すことから自らを見つめなおす必要がある。
       飢餓の時代を体験した方々には、これから日本を背負ってゆく若い世代の人達に、
      これらのことを伝えてゆく責任があるのではなかろうか。

 
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    ⅱ・家族とのつながりが、「食育」の原点だ。
      園児や小中高学生達は、今一生懸命「食育」に取り組んでいる。心身の成長過程の
      なかで、机を共にする仲間と共に、食を取り巻く様々な事柄につき体験学習を通して
      学んでいるのである。料理を通じて触れ合う作る喜び、食べる事の素晴らしさと大切
      さ、食材や調理に関わりあう人たちへの感謝の心と思いやりを学び、家族をしっかり
      とつなぎ合わせるパイプになってほしい。私達親は、彼らのこうした取り組みを家族と
      いう輪の中で、情報、行動を楽しみながら自然体で共有してゆくことが理想的であり、
      併せて、私達親も「食育」の心を汲み取ってゆけるはずである。
       家族一丸となって「食育」に取り組んで行けるようになった時、食に関する ”明るい
      日本の未来”が見えてくることは間違いない。

  5:「食育」が地域社会を活性化させる。
     ⅰ・ふるさとの郷土料理を、世代を超えて伝えてゆこう
        ふるさとには、古くからの美味しい郷土料理が沢山あるものだ。この料理の素晴
       らしさは、この里にしか出来ない料理であることだ。その理由は簡単である。
        地域特産の食材、特有の気候風土、地形、土壌、並びにこれらを生かして利用、
       活用する、地域を愛している方々の心と知恵の賜物であるからだ。しかし最近は核
       家族化が進んでいることと、地元食材が輸入食材にとって変わられたりで、後世に
       伝えてゆくことの難しさがある。地域の郷土料理の蓄積が日本の食文化を形作っ
       ていることを考えると、夫々の家庭が「食育」の心で、地域の発展を積極的にバック
       アップすると共に食生活の充実を計りながら、郷土料理を後世に伝えてゆける
       ことが望ましい。

     ⅱ・料理には、人の心を豊かにする力がある。
        美味しい料理を食べると心が浮き浮きし、気持ちが安らぎ、何か特別なエネルギ
       ーを得たかのような気分になる。この瞬間、何か前向きな自分というものを感じて
       いることが多いはずである。胃袋をやさしく満たしてくれる料理というものには、特別
       な力が秘められているようだ。最近地産地消のパフォーマンスが活発のようである。
        ここには、地元特産品の姿、形、調理方法、試食を通し、生産者と消費者との
       自然な触れ合いおよび子供から大人まで全ての人々が、美味しいものに出会って
       みたい、発見してみたい、味わってみたいと願っている食空間があり、それを共有
       出来ることが人々の心を一つにしている。この様な地域での体験学習をとおして、
       地元の食材で美味しい料理を・・・この思いが各家庭に浸透して行ったとき、「食」は
       着実に育くまれ、地産地消の心もしっかりと”根”を下ろしてくるはずである。

  6:おわりに

     現在の日本は、食料自給率(カロリーベース)が約39%と低いにも拘らず、飽食
    の時代とさえ言われていることを述べてきた。戦後復興を速やかに成し遂げたことは
    素晴らしいことであったが、目先の豊かさを優先して追求してきた結果とでも言おうか、
    今その置き忘れてきたもの、見過ごしてきたものが余りにも大きいことに、一般大衆
    の多くの方々は未だ気がついていないようである。
     溢れる食材に酔ってしまい、便利さにリードされている日本人。そこには食物を選択
    する力を削られ、何時でも、何処でも、家族なしでも一人で食べられる・・・という自己
    中心的生活に陥りやすい側面が隠されている。
     家族バラバラの食卓。個食、孤食に始まり、生活リズムの乱れを生じ、やがて生
    活習慣病へと繋がってゆくことも述べてきた。
      溢れるほどの食材は輸入でカバーされているからである(カロリーベースで約
    61%を輸入に頼っている)。戦後復興のなかで、食材は徐々に輸入のウエイトを高
    めていった。今まで容易く口に入らなかった食材が、安価で購入できるようになった。
     このことは喜ばしいことではあるが、一方で蔑ろにされてゆく、ひいては忘れ去られ
    てゆく日本食文化があってはいけないのである。世界が認めている健康食である
    日本食を、日本人は誇りにすれど疎かにしてはいけない。
     洋、和食ともに食のバランスを考えながら、食生活を豊かにしてゆく知識、技術
    並びに実行力が求められてしかるべきである。
      食育基本法は、正にこれらのことに対する警告として受け取る必要がある。食生
    活に起因すると考えられている憂うべき多くの社会問題、食物や人に感謝しなくなった
    ”貧困な心” 子供の領域にまで広がってきた生活習慣病、洋食に目を奪われ過ぎる
    ことによる世界に誇れる日本食文化の軽視、食料自給率(カロリーベース)の低さと、
    実態として底力の無い事に気がついていないこと等、食を取り巻く環境とその功罪
    について、現実をしっかりと見つめる必要がある。
     この見極めこそが、”食事力”である。 飢餓の時代を乗り越え、戦後復興を成し遂げ
    た団塊世代の方々には、確かな食事力というものを先天的に有しているものと私は、
    考えている。健康的な食べ方(バランスのとれた)の知識、技術をベースとして、
家族愛、地域愛に溢れた行動をとれるとき、美しい国-日本は蘇ってくる。若い世代
    に指導し伝えてゆくことができるのは、その心を持っているこの方々である。


    以上です。付き合っていただき感謝申し上げます。
       
   
   
    

    
    

    
  

by tettan2mc | 2008-06-30 21:43  

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